部下にKPIツリーを描かせてみよう

みなさんは部下に対してこのような悩みを持っていませんか?

  • 自分と比べると視座が低い、視野が狭い
  • 意見や提案が的外れ、判断基準がズレている

そんなお悩みを解決する方法として、今回はKPIツリーを使った人材育成について紹介します。

KPIツリーとは

KPIツリーの例

KPIツリーとは、ビジネスの最終目標を達成するための中間目標を、ツリー状に整理したものです。

目標を段階的に分解・整理することで、ビジネス全体の構造や要素間の繋がりが可視化され、「木を見て森を見ず」な状態になることを防ぐことができます。

また、戦略を議論する際の認識の共通化や、数値責任の明確化にも役立ちます。

分解の仕方に正解があるわけではなく、会社や組織ごとに多用なKPIツリーが存在します。

大事なのは、最終目的から逆算すること、各要素の繋がりを把握すること、認識を組織内で共有化することです。

KPIツリーを使ったマネジメント研修の進め方

  1. まずは社長が描いてみる(事前準備)
  2. 悩み事を洗い出してみる
  3. 部下に描かせてみる
  4. 意見交換してみる
  5. 悩み事をKPIツリーにマッピングしてみる

1.まずは社長が描いてみる(事前準備)

この研修は部下に考えさせることが目的になりますが、社長自身もこっそり事前にKPIツリーを描いてみましょう。

事前に頭の中を整理しておくことで自信が付き、当日の講評やコメントの深みが増します。

2.悩み事を洗い出してみる

KPIツリーの作成に取り掛かる前に、現在のマネジメントでの悩み事をひとり3~5つ書き出してもらい、受講生同士で簡単に共有しておきます。

ウォーミングアップ的な意味合いもありますが、最初に悩み事を洗い出しておくことで、KPIツリーを描く前と後でどれほど視座が変わったかを実感することができます。

3.部下に描かせてみる

では、実際にKPIツリーを描いてみましょう。

と言っても、いきなり描き始められる人はほとんどいないので、第2階層までは手順を提示するようにします。

まずは紙の一番左の真ん中あたりに、企業の最終目的である「利益」を記入します。

次に、「利益」は何と何で構成されているかを考えます。

「利益=売上-コスト」という公式から、利益は「売上」と「コスト」に分解できることが分かります。

はじめに描いた「利益」から右に分岐の線を引き、その先に「売上」と「コスト」を記入します。

これで「利益=売上-コスト」を表すKPIツリーが完成しました。

同じように、「売上」と「コスト」も構成する要素を考えながら分解していきます。

分解できたらさらに分解、さらに分解と作業を進めていきます。

まずは5分で分解できるところまで分解してもらいましょう。

4.意見交換してみる

でき上がったKPIツリーをグループ内でお互いに見せ合いましょう。

意見交換をしながら、グループ内でひとつのKPIツリーを完成させてみましょう。

5.悩み事をKPIにマッピングしてみる

ここからは作成したKPIツリーを活用して学習を進めていきます。

ステップ2で書き出した悩み事が、KPIツリーのどの指標に該当するか当てはめてみましょう。

一番左の「利益」に近い悩みなのか、それとも「利益」から距離のある悩みなのか…

業績に対する影響が大きい悩みなのか、あまり影響がない悩みなのか…

マネジメントや普段の業務のヒントが見つかるかも知れません。

最後にこの研修で感じたこと、取り組んでみようと思ったことなどを共有し合い、クロージングするとよいでしょう。

悩み事のマッピングの例。クレーム件数の計測と合わせて、継続率の計測もできるとより正確に状況が把握できます。
悩み事のマッピングの例:クレーム件数の計測と合わせて、継続率の計測もできるとより正確に状況が把握できます